読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

事務局通信・別冊

文学作品展示即売会「文学フリマ」の事務局代表・望月の日記です。こちらは個人的な話題メインで書き連ねていきます。

インタビューズはじめてみた

一時のブームもすっかり冷めた感のある「ザ・インタビューズ」を今さらぬるっと始めてみました。
http://theinterviews.jp/harvestmoon15

けっこう知り合いもいっぱい登録していてびっくり。
運営の質問にばっかり答えるのもモチベーションが上がらないね。
よければ覗いてみてください。

西島大介『I Care Because You Do』のこと

マンガ

f:id:jugoya:20120209093241j:plain

西島大介さんと言えば、文学フリマのマスコットであるパンダをデザインしていただいた方です。
文学フリマのパンダはまだ西島さんが『凹村戦争』で単行本デビューする前の、言うなれば“初期の仕事”ですが、西島大介らしさが凝縮されているようでとても愛着があります。

さて、そんな西島さんの新刊『I Care Because You Do』の話です。
写真の左側に移っているのは、この単行本をヴィレッジヴァンガード下北沢店で買った際にもらった栞(?)です。

このマンガは、90年代の3人の“神” ――庵野秀明、リチャード・D・ジェイムス、YOSHIKI―― に心酔した3人の男の子を主人公とした物語です。
1980年生まれで「エヴァンゲリオン」をシンジ君とほぼ同い年の頃に見た自分としては、端々で強いシンパシーを感じました。

一方で、これは誰にとっても、いけ好かないマンガと言えるかも知れません。
というのは、この3人の“神”をそれぞれ均等に愛している人はごくごく少数と思えるからです。
この神々の“信者”はとても排他性が強く、お互いに相容れない存在だ、というのが多くの方と同様に90年代を過ごしてきた私の印象です。
もしこのマンガに登場する3人の主人公のうち、誰かひとりに自分を重ね合わせて読むとすると、残りのふたりは“いけ好かないヤツ”に見えるわけです。

しかし、このマンガを通して読むと、あまり関わり合いのない3人の主人公が、同じ時代に生き、青春を戦い、傷ついていった同志に見えてきます。
なるほど。
よく「タコ壷化」などと言われる90年代のサブカルチャーを、こうやって表現したか。
そう膝を打った私なのでした。

第十四回文学フリマ参加申込受付開始

文学フリマ

第十四回文学フリマの出店参加申込の受付が始まりました!
募集期間は「2012年2月5日(日)~2月19日(日)」ですので、お忘れなくお申し込みください。

なんと今回から申込時に登録するサークルカタログ情報は後から編集・追記することが可能になりました。
とりあえず申込を済ませておいて、後から執筆や編集の進捗に合わせて内容を変更できます。
もちろん新しくホームページを立ち上げたり、ツイッターアカウントを取得したらカタログ情報に追加できます。

ただし!
このカタログ情報が編集できる期限は3月11日(日)まで。
事務局としてもカタログを編集して作らなくてはいけないので、これくらいが限界だったりします。

申込時にとりあえずカタログ情報に「内容未定です」とだけ記入して、うっかり後から変更するのを忘れたらこれがそのままカタログに掲載されてしまいます。
後から編集できるからといって油断せずに、くれぐれもご注意下さい。

第十四回文学フリマの申込について

文学フリマ

お待たせしてしまっている第十四回 文学フリマの出店参加申込ですが、なんとか1月中に開始できるようにがんばってます。

 

今回は申込のシステムを変更しているため、作業に時間がかかっています。

具体的に言うと、カタログ情報の編集機能をつけます。

申込締切後も一定期間までカタログ情報をあとから編集できるようにします。

そこからまた先の展開も考えているのですが、それは次回に実装できれば……。

とりあえずもう少し待ってね!

若き批評家二人の“PIECES OF A DREAM”~『ビジュアルノベルの星霜圏』について

読書 ゲーム 評論

f:id:jugoya:20120115004732g:plain

ビジュアルノベルの星霜圏』は昨年末のコミックマーケット81で初売りとなった同人批評誌で、主として坂上秋成さんと村上裕一さんという、共に一九八四年生まれの批評家ふたりが中心となって製作されています。坂上さんと村上さんはかの「東浩紀のゼロアカ道場」の参加者(そして村上さんはその優勝者)であり、いわば批評家としても“同期”と言ってよい二人です。*1
 まず個人的にはこの本の初売りの舞台が文学フリマではなくコミックマーケットであったことには嫉妬のような感情を禁じ得ません。ただし、現状の文学フリマの規模がこの本の持つ訴求力に見合わないことは明らかなので、致し方ないこととは思います(もちろん私自身、コミケでこれを購入しています)。
 しかしそれ以上に、私にとってこれはとても「嬉しい」本なのです。ゼロアカ道場で競い合った二人が、互いの力を注ぎ込みこれほど素晴らしい同人誌を作り上げるとは! あの批評家育成コンペ企画にささやかながら関わった自分としては、そのことがなにより嬉しい。

 さて、本書の目次についてはこちらをご参照いただくとして、まずインタビュー記事も批評も非常に心得たメンバーを揃えているのが目を惹きます。批評同人誌は「アレが足りない、コレを見逃している」式の非生産的な批判にさらされることが異常に多いのですが、これは好事家も納得といった人選でしょう。インタビューの内容についてもかなり重要な発言を多く引き出しており、読み応えがあります。特に奈須きのこ氏(と武内崇氏)の「作り手とユーザーの時間の共有」の話題は興味深いものでした。
 ビジュアルノベル(美少女ゲーム)の消費者であれば、まず読んで損はない本です。

 もちろん気になる点もあります。まず、本書は明らかに東浩紀さんが二〇〇四年に刊行した批評同人誌『美少女ゲームの臨界点』を踏まえたものです。内容だけではなく、版型などデザイン的な部分も含め、ほとんど『美少女ゲームの臨界点』第二弾といった風情です。にも関わらず本書の中では『美少女ゲームの臨界点』についてはほとんど触れられていません。これはフェアじゃない、と思います。
 手前味噌ですが、『これからの「文学フリマ」の話をしよう~文学フリマ10周年記念文集~』に収録された座談会の中で、藤田直哉さんは以下のように発言しています。

東さんの『美少女ゲームの臨界点』は事件だったわけです。~(中略)~事件なりを起こすという覚悟ですよ。東大博士号で「批評空間」出身でAERAの表紙を飾った人間が、当時エロゲーを批評したらそれは社会的な自殺だったかもしれない。失敗していたら本当に社会的に消えていたかも知れない。

ビジュアルノベルの星霜圏』は、東さんがそんな覚悟を持って進んだ道にできた轍を屈託なく疾走している。そんな風に思えてしまうのです。
 また同じく『これからの「文学フリマ」の話をしよう』の中のインタビューで、東浩紀さんその人がゼロアカ道場以降の同人批評誌の姿勢について「インタビューや対談に頼り切っている」と苦言を呈しています。この発言に本書はそっくり当てはまってしまうとも言えるでしょう。
 ただし、この本からは坂上・村上両氏の「ビジュアルノベルについて、とにかく何かを形にしなければ前へ進めない!」という強い気持ちが感じ取れます。おそらくはそういった批判は承知の上で、それでも自分たちのビジュアルノベルに対する情熱にケリをつける必要があったのでしょう。その意味では、坂上・村上両氏の“覚悟”は充分に伝わってきます。

 そして、「ビジュアルノベルの星霜圏」は東さんがやろうとしてもできなかったことをひとつ為しえています。それは二人の共同編集によって切磋琢磨し作品を作り上げる、ということです。「新現実」「ギートステイト」など東さんの共同プロジェクトの多くは諸般の事情により頓挫したり方針転換をしています。おそらく実を結んだのは桜坂洋さんとの共作『キャラクターズ』くらいではないでしょうか。それに比べ、坂上さんと村上さんは難しいことを軽やかにやり遂げました。

ビジュアルノベルの星霜圏」が出たことで、私の中での「ゼロアカ道場」に対する評価も変わりました。「ゼロアカ道場」は当初からオーディション番組『ASAYAN』に例えられることが多かったのですが、それを踏まえて言えば、「ゼロアカ道場」は村上裕一というソロアーティストを世に送り出したのではなく、坂上・村上というデュオを、“批評界のCHEMISTRY”を生み出すことに成功したのです。
ビジュアルノベルの星霜圏」はそんな二人のファーストシングル、「PIECES OF A DREAM」だったわけです。本書に集められた「ハンパな夢のひとカケラ」が彼らの未来にとって道しるべとなるのか、それとも呪いのようなものになるのか、それはまだわかりません。

 私は彼らが切り開いていくであろう批評の地平に期待しています。

コミケで少し感じたこと

文学フリマ 読書

先日12月31日のコミックマーケット81で私は「る~でんす・アーツ」というサークルで『これからの「文学フリマ」の話をしよう~文学フリマ10周年記念文集~』の売り子をしていました。

自分が運営サイドである文学フリマでは売り子をする機会がなかなかないので、純粋にサークル側の気持ちでイベントに参加するのは気分が良いものです。

こうして売り子に立ち返ると、忘れかけていたことも色々と再確認できました。

なんと言っても文字だけの本は厳しいということです。

これは文章系同人の“あるあるネタ”だと思いますが、まあ中身をチラ見してすぐ立ち去ってしまう人の多いこと。

みなさん「あ、マンガじゃないんだ」ってな表情です。

それだけならまだしも、わざわざ「いやあ、僕は頭が悪いんでこういう難しい本は読めないなあ」なんて言い訳してそそくさと去っていく人もいます。

よかれと思って言ってくれているんでしょうが、こんなに気を遣われるくらいなら黙って立ち去ってもらった方が精神的にはラクってものですよね。

それでついつい文学フリマのツイッターで

コミケで「なんだ文字か」という反応に耐えている文章系の皆さん、僕と一緒に頑張りましょう!(望月) #bunfree

なんてつぶやいたら結構リツイートされてました。

みんな同じ気持ちなんだなあ。

 

まあ、コミケはマンガのイベントですから当たり前のことですし、わかってはいるんですが、久々に身をもって文章系に対するアゲインストの風を感じたわけです。

やっぱり文学フリマは居心地いいよな、みたいな。

そんなわけで、コミケにてあらためて文学フリマという場が文章系の同人にとってどれだけ大切な場所か再確認したのでした。

文学フリマのアーカイブス

文学フリマ

どれだけ需要あるかはわかりませんが、文学フリマ公式サイトの「アーカイブス」に第七回と第八回の文学フリマのサークルカタログのPDFデータが公開されました。

文学フリマ-過去の開催記録

これまでは過去の記録についてそれほど気にしていない部分もあったのですが、イベントとして10年も続いているのですから、記録をしっかり残しておくことも大事だと思い直してこういったアーカイブ化の作業を進めています。

公式サイトのコンテンツ不足の解消にもつながればよいなという狙いもあります。

 

前回の文学フリマでは開催前にサークルカタログのPDFデータを公開しました。

電子書籍を閲覧できる端末も普及してきましたし、タブレットPCでカタログを見ながら会場巡りという需要もあると考えたためです。

同人誌即売会としてはそれなりに画期的な試みだったのではないでしょうか。

まあ、それも文学フリマはサークルカタログが無料配布だからできることなんですが。