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事務局通信・別冊

文学作品展示即売会「文学フリマ」の事務局代表・望月の日記です。こちらは個人的な話題メインで書き連ねていきます。

映画「ももへの手紙」を観た

映画 評論

平日に休みがあったのでいくタイミングを逃していた『ももへの手紙』を観にいきました。

もう公開から時間が経っているので上映終了しているところも多く、角川シネマ新宿のスクリーン2(少し小さめ)に行きました。

 

沖浦啓之監督の『人狼 JIN-ROH』以来実に12年ぶり(!)の作品ということなのですが、前作とは趣のまったく異なるストーリーを手がけています。

この飛躍はなんとなく片渕須直監督が『BLACK LAGOON』の直後に『マイマイ新子と千年の魔法』を作った感じを思い出させます(もっとも、片渕監督はコンスタントに監督作がありますが)。

 

昨今の劇場アニメは有名タレントを起用することが多いのですが、私はそれがかえって裏目にでてしまうこともあると考えています。

例えば『REDLINE』の「木村拓哉主演!」みたいな押し方とか、少し古い例では『マインド・ゲーム』の「吉本芸人大量出演!」みたいな感じは、本来その映画を観るべき客層へのアピールにはマッチしておらず、その作品にとってやや不幸な結果をもたらしていたのではないかと思います(実際に作品を観れば今田耕司さんの快演が『マインド・ゲーム』の魅力だということは納得できるのですが)。

 

『ももへの手紙』では、優香さんや西田敏行さんが出演しています。

しかしこれは、かの高畑勲監督が『おもひでぽろぽろ』で行った「キャラクターデザインを声を演じる人に似せて作ればハズレなし!」という手法に近いような気がします。

プレスコまで取り入れた『おもひでぽろぽろ』ほど徹底してはいないにせよ、演じている人とキャラクターがみんな似ています。

それだけに、声を聞いても有名俳優を起用した時にありがちな違和感はまったく感じないですね。

あと、自分の世代は山寺宏一さんと言えば「キャッ党忍伝てやんでえ」のカラ丸や「魔神英雄伝ワタル」のクラマのイメージが残っているので、山寺ボイスでああいう口のとがったからす天狗・河童系キャラは嬉しいものがありました。

 

作品としては非常に丁寧な作りで、後半はきっちり泣かせにきます。

普遍的な泣かせの話を真摯に描けばやっぱり泣ける、というところでしょう(一部では「予告編だけで、すでに泣いた」という声もあるくらいですw)。

もちろん我らが西田局長*1ラストシーンで滂沱(ぼうだ)の涙だったとのこと

 

少女と妖怪を出すとやれジブリのパクリだとかなんだとか言われそうなところですが、ジブリ的(宮崎駿的?)なハッタリをかまさず地に足の付いた描写に独特の味わいがありました。

ただ丸々120分というアニメ映画としては長尺な中で、あのイノシシのエピソードは数少ないアクションシーンというだけで、ストーリー的な必然性に乏しかったように感じます。

 

ちなみに終盤のお祭りで藁船を陽太の父親が海に押し出すシーン、海面にみっつの滴が浮かんでいる描写がちゃんとあります。

だから「ももへの手紙」をソラに送るのも、返信をももに届けるのもイワ、カワ、マメがやっているということなんですね。

 

なお、私が観に行ったとき、館内は20人くらいのお客さんがいたんですが、半分は小学校低学年くらいの女の子連れのファミリー客でした。

こういう環境で映画を鑑賞すると、「ああ、小さい子はここで笑うんだ」とか「親御さんはこういう場面に感心するんだな」なんてことがわかって、より作品の特徴がわかりますね。

もう劇場公開も終わりに近いですが、オススメの作品です。